軍用HF受信機 1952〜1960’
1.5〜18MHz AM/CW  SSBはCWモードでRF-GAINを絞ることで一応可能
あの、コリンズ R390Aを凌ぐとも言われる軍用受信機。 映画などでも良く出てくるので特異なマスクと相まって記憶に残っている方もいるであろう。

上がR-174/URR受信機、下がPP-308/URR という電源である。 セットでAN/GRR-5、俗称 アングリー・ファイブと呼ばれる。
ジープや戦車、或いは前線司令部に設置する為、電源とセットになり丈夫な防水ケースに収納されている。 外部に露出するコネクタには総て防水のねじ込み式の蓋が付属し、紛失しないように鎖で本体に固定されている。
野戦用なので、電源も110VのACの他に6V,12V,24Vでの使用が可能で、バッテリーでの運用も可能である。

ジープで渡河するような状況で使用されることも想定されるので、防水の他に、丈夫なマウント、金属製のノブなど、とにかくヘビーディユーティを体現している。
大きな円形のダイアルは、機械的プリセットの為で、中心の小さなダイアルがチューニングノブであり、減速比は約32:1である。 左上の小さな窓が周波数の表示用で、バンド切り替えに伴い窓の位置が変わる。 バンド間違いを防ぐ工夫で、軍用、商用の高級受信機にしばしば見られる。
プリセットは、上の写真に写っている、数字の書かれた四角いネジを付属のレンチで緩め、ダイアルの基部にあるレバーを起こしてチューニングすると、このネジが一緒に動いていく。 同調点が決まったら、レンチで締める。 、プリセットに合わせる場合、チューニングノブは、引っ張るとフリーになるので、大きな周辺のリングを回転させ希望する数字の所に、白い矢印を合わせてダイアルのレバーを起こすと、固定されたネジを挟むようにクリップが出てプリセット周波数に機械的にロックされる。 精度的にはSSBには不足しているが、AMでは充分実用になる。 ギアの減速比が大きく、やや固いので大きく周波数を移動するときは、真ん中のツマミを引っ張り、ロックを外して外側のダイアルを廻して粗同調し、ツマミを押し込んで微調整するという使い方が出来るようになっている。 他の受信機には見られない長所である。 このダイアルはこの機械の最大の特徴である。  ブロックダイアグラムを下に示す。 使用している真空管は、直熱受信管である。 本体に10球、 電源に4球が使われている。
AN/GRR-5
重さはともかく、サイズが小さいことはメリットである。 金に糸目を付けない軍用の面目躍如。 最高の性能を追求したシングルスーパーの最高峰といえる。 40年以上昔の機械であるが、何の問題もなく動作するのは、使用している部品の品位の高さ故であろう。 ダイアルの周波数も、ドンピシャである。 感度は高いが、現代のシンセサイズドの受信機の様な、ヒスノイズが無く綺麗な音質である。 受信音の静かな受信機である。 周波数読みとり精度、周波数安定度ではダブルスーパに劣るシングルコンバージョンの受信機がマニアに好まれる所以である。
 SSBの受信ではRFゲインを絞り、BFOの強度に信号の強さを合わせるという、テクニックが必要であるが、周波数安定度は良いので航空管制などなら実用になる。 電源に付属するスピーカは防水のベークライトコーンのもので、音量は足りない。 しかし、マニュアルを見ると、元々車内のオーディオシステムに接続することを前提にしているので、スピーカはあくまで非常用のオマケであろう。 というか、いざというときは単体でも使用可能とする野戦用の配慮と言うべきであろう。
AC動作でもフィラメント電源に使用されているチョッパーが動くので、静かな所ではブーンという機械音が微かに聞こえる。 また、ダイアルのイルミネーションは省電力の為か野戦灯火管制か、ボタンを押したときしか光らないし、暗いので見にくい事が挙げられる。 尤も、野戦でダイアルが光っていては危ない。 たばこに火を付けてスナイパーに撃たれるという世界である。

異形だが、随所のこだわりが楽しい素晴らしい受信機である。 これでプロダクト検波がついていたらナァ、って時代が違うか (゚゜)☆\バキッ
簡単ではあるが、測定をしてみて、そのポテンシャルの高さには驚いた。 シングルスーパなので、周波数安定度や、読みとり精度については全く期待していなかった。 所が現代のシンセサイザ受信機というわけにはいかないが驚くほどの精度を誇っていた。 それも製造後かなりの年月を経た、未整備の状態でである。
内部を見てみれば、驚くほどのコストのかけ方で、造りはコリンズの軍用機器を凌いでいる。 かといって、SP600のような、仰々しさもない。 回路だってシンプルなものである。 しかし、バリコンの造りとか、バンドスィッチの材質、配線の確かさ等、民生の機器には見られないコダワリが楽しめる。
R390を凌ぐと言われる意見には、大いにうなずけるところである。 一寸誉めすぎのような気もするが、私のコレクションの中では珠玉の逸品である。
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写真と解説 (Photoes and discription)

試験成績 (Test result , Accuracy and Sensitivity)
 驚きの検査成績をご覧下さい。 驚きました。

トラブル (Trouble with BlackBeauty)

水に浮くというのは本当か
 ( Is really float?)


リンク  http://antiqueradio.org/angrr-5.htm
総評
更に
マニュアルの表紙
122ページ+回路図という、非常に詳細なマニュアル
使用法、回路の説明、調整の方法が詳しく述べられている。 軍用機のマニュアルは入手できれば非常に役に立つ。 オリジナルを持っているOMからお借りして129ページをスキャンしてCDを作った。 ご希望の方には、原価(返信用の切手を貼り返信先の住所を書いた、CD-ROMが送れる封筒とビール券1枚)で頒布します。本当はHPに掲載して自由にDL出来るようにしたかったのですが、27MBありますので...